僕は、従業員10人程度の零細企業を経営している28歳だ。
先月、3人目の子供が生まれた。
待望の長女だった。
そんな矢先、息子たちがRS感染症にかかってしまった。
病院の先生は、新生児にRSが感染することを恐れていた。

新生児がかかった場合、酷くなり、入院し、長期化する可能性があるから
家族の協力を得ながら、息子たちを数日隔離した。
そして、数日後、娘もRSに感染してしまった。
入院することが決まった。
妻が娘に帯同することになり、僕は同じくRSに感染している息子2人のお世話をすることになった。

息子2人のお世話をすること自体は何の苦もない。
しかし、問題は2人が病気だということ。
数日間、保育園にも行けず、家にずっといないといけないということ。
そして、僕は零細企業を経営しているということ。
「これは、なかなか大変な期間になるな」
土曜日は地域の草刈りや、親戚の法要があったため、子供を預けないといけなかった。
朝早くからお別れしたら、別れるのが大変だからという理由で、前日の夜から泊まりに行った。
まだ3歳と1歳の息子にとって、父や母以外の人と一緒に寝るのは、なかなか簡単なことではない。
現に、ばあばと一緒に寝るのは初めてだった。
案の定、お別れの時に、ギャン泣きだった。
別れるのは辛かったが、仕方なかった。
そして、これも成長だよね、と言い聞かせた。
翌日の日曜日。
僕は仕事があったため、午前中一緒に遊んで、午後から実家に預けた。
そして、夜迎えに行った。
次男がちょっと熱かったので、熱を測ると、39度超えていた。
昨日、今日と熱はなかったのに再発したようだった。
明日も病院だな。
毎日のように病院に行ってるので、ちょっと疲れる。
妻に荷物を届けに病院へ向かった時に、息子たちも一緒に連れて行った。
息子たちは大泣きだった。
3日ぐらい会えてないからだよね
帰り道、一緒に歌を歌いながら帰ったら、泣き止んでいた。
帰って、歯磨きして、寝かしつけた。
21時ぐらいには寝てくれた。
夜中の1時半ごろ、突然、次男が泣き出した。
寝る前は、39度超えてたから、熱が酷くなったかなと思ったが、熱はないようだった。
「ママ、ママ」とずっと泣いている。
そうこうしているうちに、長男も起きた。
「ママ、ママ」泣き止まない。
「シタニ、イコウ」「シタニ、イコウ」
下に行って、水をあげても、水は飲まない。
抱っこしても、次男は全然泣き止まない。
何をしても泣き止まない。
車でドライブとかしたほうがいいのかな
どうしたらいいんだろうか。
悩んでいた時、次男の気持ちがスッとわかった。
次男はキレているんだ。
この数日、熱を出してキツイのに、ママには会えないし、パパも仕事で忙しいし。
ずっと頑張っていたのに、あと数日ママに会えない。
心が折れそうになっているんだなと思った。
そして、これまで泣き止ませようとばかり意識を向けていて、次男の感情に全く目を向けていなかったことを悟った。
「すごく、頑張っているね。かっこいいね。大丈夫だよ」
と言って、次男にハグをした。
「嫌だったよね。こんなに頑張ってるのに、ママと会えなくて。パパも忙しくて。すごいね。」
と言って、抱っこして、ずっと話しかけた。
すると、あんだけ泣いて、あんだけ駄々こねていたのに、スッとおとなしくなった。
気持ちが収まったのだ。
僕はこれまで子供達に、対等の人間として、接してこれただろうか?と反省した。
息子もまだ小さいが、一人の人間として、尊厳がある。
これからは、もっと、その子が何を考えていて、どういう気持ちなんだろうか、
もっと気持ちに寄り添ってやろうと思った。
これまで自分の都合ばかりで接していたことに深く反省した。
ママじゃないと難しいかなと思っていた。
そうだよね。だって、ママじゃいと気持ちわかってくれなかったから。
子供を一人の人間として、尊厳もって向き合おうと思った日だった。










